靖国神社の遊就館で、高校生が集めた砂鉄で作った短刀が出展されてます。

神奈川新聞 1/1(月) 17:34配信    

 

 県立鎌倉高校(鎌倉市七里ガ浜)の科学研究会が、鎌倉の砂鉄から鉄をつくり出す方法を6年かけて確立した。昔ながらの「たたら製鉄」と呼ばれる手法を用いて、代々の生徒たちが試行錯誤を重ねた挑戦。この鎌倉産の鉄を使って県内の刀工と研師の手で短刀が完成し、新年に展示される。
 
 たたら製鉄は、木炭を燃焼して鉄を精製する日本古来の製鉄方法。科学研究会は2011年に研究を始めた。当初は学校の目の前に広がる七里ケ浜の海岸の砂から砂鉄を採取して試みたが、「1グラムも鉄ができなかった」と顧問の木浪信之教諭(60)は振り返る。

 次は七里ケ浜よりも砂鉄が多く含まれる稲村ケ崎の砂を使ってみた。磁石で何度も砂鉄とそれ以外のものにより分ける。
 炉は、木浪教諭の知人で立命館大の山末英嗣准教授から協力を得ている。夏休みに研究会のメンバーが滋賀県にある同大キャンパスを訪れ、約300個のれんがを使って組み立てる。

 砂鉄を炉に入れ、木炭を加えて3~4時間熱する。炉内の温度は1300度以上に達し、底で溶けて固まった「ケラ」ができる。純度の高いケラになるまで何度も、木炭の量や送り込む空気の量、炉内の温度を細かく調節した。

 大きなポイントだったのは、砂鉄を炉に入れる前に熱湯で30分以上洗うこと。木浪教諭は「汚れや付着している海水が取れるのが効果的だったのではないか」と推測する。純度の高いケラから鉄を取り出せるようになり、工程をまとめた論文が日本学生科学賞の入選1等に入賞した。

 その活躍を同窓会の会報誌で知った卒業生を通じ、秦野の刀工・森光廣さんから「一度、鎌倉の鉄をたたいてみたい」と刀作りの申し出を受けた。科学研究会のメンバーも「この鉄で何か作ってみたかった」と喜んで応じた。仕上げの研ぎは、鎌倉の研師・本阿弥家の戸村厚之さんが担った。

 出来上がった短刀は刃渡り25・7センチ、重さ180グラム。柄(つか)には「以鎌倉砂鉄」と記されている。木浪教諭によると、鎌倉の砂鉄のみで作られた刀は記録がないという。

 研究を始めてから、代々のメンバー30人ほどが試行錯誤を繰り返してきた。現部長の金井瑠偉(りゅうい)さん(16)は「先輩たちの力があったからこそできた。何度も失敗して工程を一つ一つ感じられた」。木浪教諭は「生徒の努力のたまもの。感慨はひとしおですね」と目を潤ませる。

 短刀は靖国神社遊就館(東京都千代田区)で1月1~13日に開かれる「奉納新春刀剣展」に出展される。



       靖国神社へ初詣に行かれる方、是非ご覧になってください。