天皇陛下と安倍首相の反省

終戦から72回目を迎えた政府主催の全国戦没者追悼式が15日、日本武道館で開かれた。天皇、皇后両陛下や遺族らが参列する中、陛下はおことばで「終戦以来、既に72年。国民のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、苦難に満ちた往時をしのぶ時、感慨は今なお、尽きることはありません。ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後戦争の惨禍が繰り返されないことを切に願い、全国民とともに、戦陣に散り、惨禍に倒れた人々に対して、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の発展を祈ります」。

陛下は先の大戦について戦後70年を迎えた15年から3年続けて「深い反省」との表現を用い、平和を祈る気持ちを示された。即位したときから象徴として国民の中に入った陛下は、全国行脚のみならず、アジアへ慰霊の旅を続けてこられた。その平成も来年には幕を閉じようとしている。陛下の思いや後世に平和を強く希求するお気持ちが「深い反省」という言葉を選ばせているのだろう。

一方、首相・安倍晋三は「戦争の惨禍を繰り返さない」とその決意は語るものの、歴代首相が言及したアジア諸国への加害責任や謝罪には今年も触れず「不戦の誓い」も式辞から外した。つまり反省はもうしないということだ。陛下自身の足で回られ、触れた国民や諸外国民の声を受け止めた思いを言葉にすることと、政治の世界がこねくり回して作り上げた作文の違いを見せつけられた思いだ。政治は絶えず戦後の社会や経済をリードしてきたと言いがちだ。無論、視点を変えればそうかもしれない。だが、陛下の言う「国民のたゆみない努力」の結果に今日があるという言葉に「象徴」としての深みが宿る。