キリスト教の成立 福音書1 イエスのオリジナルの教えに近いQ資料と福音書 ローマに入って変貌する教え

 『福音書=四つの物語 講談社選書メチエ (304) - 』では、初期の教団は幹部の人々がイエスとの繋がりを独占するために敢えて文字資料を残さなかったという可能性を指摘しています。確かに有り得る話かもしれません。

 しかし、イエスの弟子の第一世代も年を取ってきます。ユダヤ戦争がイエスの処刑から30年以上経ってのことですから、亡くなる者も出てきます。そこで、直接教えを受けた弟子がイエスに関する情報を独占し、それを強みに力を握るということが出来なくなってきたために福音書が書かれたのです。

 ただ、福音書も参考にした資料があると言われます。それがQ資料と言われます。Q資料とは資料を意味するドイツ語Quelleの頭文字を取ったものですから、語源から見えると少々怪しい日本語訳に見えますね。このQ資料は福音書を解析する中で想定されるようになったもので、イエスについてより古いオリジナルの伝承に近いものだと言われます。

 福音書が書かれてみると、その内容にどうしても納得のできない者が現れます。そうした人々は、福音書という形式はそのままに、イエスに関する別のストーリーを書きます。全く同じことを別人が書いても意味がないので、内容が異なるのは当然ですね。こうして複数の福音書が出来上がります。

 イエス教団の面々は福音書を手に布教活動を行ったのです。その行き先の1つが、ローマでした。イエスの信奉者がローマに入って布教を始めたことは、彼らの宗教もまた大きく変えていくことになります。その1つはクリスマスです。

 既に書いた通り、イエスの幼い頃について分かっていることは、ベツレヘムではなくナザレに生まれ、おそらくは他所の都市など知らず、識字能力は無かったであろうということくらいです。何年の何月に生まれたのかも分かりませんし、何か目立ったことがあったのかどうかも分かりません。ところが、先行する宗教に対抗する中で、徐々に幼い頃の話が作り上げられていきます。それも、先行する宗教を取り込む形で。


福音書=四つの物語 講談社選書メチエ (304) -
福音書=四つの物語 講談社選書メチエ (304) -



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