キリスト教の成立 死と復活12 『ダ・ヴィンチ・コード』の種本、『レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説』の面白さと怪しさ

 『レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説 (叢書ラウルス) - 』は、イエスが処刑された状況が通常の十字架刑とは違っているように見えるとして、イエスの死は偽装されたものである可能性を唱えています。しかし、私には、骨格となる主張の幾つかは福音書の記述とは整合性が取れないように思います。

 イエスが覚醒作用の有る酢を口にした直後に死んだことはおかしいので麻酔薬を飲ませたのではないかとの主張は、イエスの絶望的な末期の言葉と矛盾するのではないでしょうか。

 人々は十字架刑を遠くから見たというのは近寄れないようにされていたからだというのも、単に信者たちは自分たちも捕まって殺されることを恐れて十字架に近寄れなかったとすれば矛盾はないでしょう。

 通常は遺体が腐るまで放置されて埋葬されないとしているのも問題です。同時期に十字架につけられたイェホハナンの遺骨が骨箱に収められていることから、十字架刑に処された者は絶対に埋葬されなかったとは言えないことが明らかです。

 ただ、同書でイエスがラビと呼びかけられているからには結婚していたに違いない(未婚者はラビと呼ばれることがない)というのには同意です。

 『ピリポ福音書』では、イエスがマグダラのマリアを伴侶にしたとあります。イエスのマリアへの偏愛は著しく、イエスはしばしばマリアにキスをし、他の弟子たちは憤慨してなぜ彼女を特別に愛するのかとイエスに詰め寄るシーンがあります。

 イエスはなぜ私は彼女を愛するようにお前達を愛さないのかと自問し、明確な答えを返しません。この人間臭いイエス像、良いですね。

 マリアがイエスの伴侶だったのなら、彼女が遺体消失現象の第一発見者となったのは偶然ではなく必然ですね。

 まあ、『レンヌ・ル・シャトーの謎』は随分と怪しげな推測に推測を重ねてはいますので、どこまで信用に足るかはかなり疑問ですが、面白い本ではありました。方々で「ある歴史家は云々」といった形で出典をボカして書くのはいただけませんが。

レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説 (叢書ラウルス) -
レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説 (叢書ラウルス) -

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